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島の顔 伊是名島の人たち。Vol 2 http://www.shimanokaze.jp/
 『島に生きるということ。』 

「おはようございます。何してるんですか?」
宿を出て、初めて出会ったのが縁側で作業をしていたこのおじいさんだった。
僕の問いに答えずジロリとこっちを見て、すぐに自分の手元に目を戻してしまった。
返事がないのは、「邪魔すんな、あっち行け」の合図。
普通だったら、ここで引き下がる。
でも、なんだかすぐにそうする気にはなれなかった。
それは、おじいさんのすぐ横に碁盤が見えたからだ。

伊是名の集落ではほとんどの家の縁側に碁のセットやお茶が入ったポットが置いてある。
それは、いつでも縁側に座ってお茶を飲んでいってくださいね。碁でもうちながら話ましょう。のサインなのだそうだ。

それでも内心、あっち行け!と怒鳴られるのでは無いかとドキドキしながら、おじいさんのもとへと近づいてゆく。手元をのぞき込む僕を気にする様子はなく淡々と作業を続けている。
家の中には酒瓶やたばこの殻が転がっていて、お世辞にもきれいとは言えない。
それとは裏腹に慣れた手つきで淡々と網を編む指先はとてもきれいだった。

「東京か?」
手元に見とれていると、おじいさんのほうから話しかけてくれた。
「長野からです」そう言うと、顔が急にやわらいだ。
昔よく富士山や八ヶ岳、北アルプスに登ったのだそうだ。
若い頃は内地(本州)の山に登る事だけを楽しみにして仕事をしていたという。
さっきまでの憮然とした様子が嘘のようにおじいさんの話は止まらなかった。
そして、大事そうに柱に貼り付けてあった一枚の葉書を見せてくれた。
それは内地に住む姪子さんが送ってくれたのだそうだ。
絵はがきには紅葉で色づいたイチョウ並木が写っていた。
「いつかまたこんな場所に行ってみたいな」おじいさんはぼそっと言った。
なぜ、そんなことを言うのだろう?
イチョウ並木なんて日本中何処にでもあるありふれた風景だ。

その時、高校生の時に初めて見た東京の風景が頭をよぎった。
見上げもてっぺんが見えないくらいの高層ビル、ものすごい人の波…。
北海道から来た僕には同じ日本とは思えなかった。
紅葉したイチョウ並木もイゼナに長く暮らすおじいさんにとっては異国の風景なのだ。
日本は広い。そして「島」で生きていくということの意味をおじいさんは少しだけ教えてくれたのかもしれない。

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上記「伊是名 島の風」のHPで10日に一回くらいのサイクルで私が撮影した伊是名島の写真が掲載されています。是非ご覧下さい。

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